よっさん 元気です

花月明千記 ⑩ 句会

妻がこの世を去りお通夜の段取りをしていると、和尚様に呼ばれ戒名を頂いた。
「貴男の奥様は常に周りを明るくし月のようであり、花のようである。月も花も幾千通りも明るく輝く。戒名は【花月明千信女】でいかがでしょう。」
暗くどんよりとした家族にひと筋の明かりが差し込んだ。
家族全員久しぶりに微笑んだ。
「ありがとうございます、妻にぴったりの戒名です。安らぎを与える戒名です。」

今宵は中秋の名月、生前妻とは呑みながらよくミニ句会を開いていた。
きっかけは、漫画【酒の細道】テレビ番組【吉田類の酒場放浪記】夫婦ともども宗達や類さんの世界に迷い込んでいた。
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一周忌を終えたあたりから少しづつ遺品整理をしている。
押入れから短冊が出てきた。
3年前夫婦で出場した全国東西俳句相撲の出し句の短冊だ。
トーナメントで勝ち抜く度に詠みあげる俳句を短冊に写しておいたものだが、生憎その日は1回戦で敗退2回戦以降詠みあげていく俳句は日の目を見ることなく押入れの中に封じ込められていた。

月見の夜に
亡き妻の稚拙句を詠みあげてみたい。

新米の むすび息子の 疲れとり  
  息子が新社会人になったころ、緊張して帰ってくる息子にお腹が空いたかとまずはおむすびで一服させていたころがあったなあ。 新米と新入社員の掛け言葉ともとれるね。

小春の京 母の手を取り 石だたみ
  我が家では女子会がよく行われた。メンバーは妻と娘と妻の妹そして妻の母。京都の旅の思い出句。ゆっくりと三年坂を上る母と娘。楽しい旅だったようで。

野菊摘み 名も知らぬ人 手を合わせ
  これも旅の一コマ妻は海よりも高原や山への旅が好きだった。小さな野に咲く花が好きだった。
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今宵は中秋の名月
妻を偲びひとり句会
空の上から品評しておくれ

名月や 君の笑顔と 重なりて
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花月明千記 ⑨ 絶唱

その日 6月29日は我が家にとってとても幸せな一日となるはずだった。
妻の父が長いリハビリ生活を終え退院する日だった。
妻の母と妻の妹夫婦が義父を病院まで迎えに行き、帰りに妻の入院先病院に寄り久々の再会という段取りだった。
私はその日は仕事で帰宅後を楽しみにしていた。

時計の針が午前10時をさしたころ、妹夫婦たちが義父を迎えに出かけたなあと思ったとき、携帯がぶるぶると震えた。
電話は妻の入院中の病院からだった。
「奥様が先ほど心不全を起こしました。すぐ来れますか?」
訳の分からぬまま、車を走らせ妻の元へと。
妹に知らせるると、車をユーターン妻の病院に向かってもらった。

病院に着くと妹夫婦と妻の母が相談室で待っていた。
ドクターの説明が始まった。
「腸閉塞の術後原因不明の発熱があり血圧低下しましたが処置を終え今落ち着いています。」
集中治療室で横たわる妻と少し話をして妹たちは又義父を迎えに行った。
「呼吸困難なようですから、人工呼吸器を今から付ける処置をします1時間ほどかかります。」

昼食をとり集中治療室に戻ると慌ただしい雰囲気の中ドクターが近づきこう言った。
「急変しました、危険な状態です。」
何を言っているんだ? どうしたってんだ?わけが分からない?

妹夫婦が退院したての妻の父妻の母を連れ立ってやって来た。
言葉が出なかった、出るのは涙ばかりだった。

何度も何度もベッドに横たわる妻の手を握り体をさすり
「がんばれっ! 生きろっ! 目をさませっ!」
声をかけ続けた。
子供たち2人、甥のまーくん、兄貴夫婦、おふくろ、みんな駆けつけてくれた。
何度も何度も・・・・・・・声をかけ続けた・・・・・・・

平成25年6月29日 午後6時8分 妻は静かに目を閉じ安らかな眠りについた。

死因 敗血症による急性呼吸循環不全。
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花月明千記⑧ 未来日記

6月11日(火) 「レントゲンとったらガスがたまっているそうです。漢方薬を飲んで様子みます。しばらく入院です。」
「そうか………まあ、あせらずじっくりと療養しよう。大丈夫。」

6月12日(水) 「おはよう、まだお腹は張っていますが、夜中にウ〇チでました。」
「おはよう。快便いいね!」

6月15日(土) 「(勤務先への気遣いの言葉)」
「歓迎するかのように玄関軒下にツバメの巣完成です。幸せを運んでくれそうです。」

「すごい!びっくりです。幸せが来ますように」

6月21日(金)0:55 「お腹変、 見てもらい明日まで様子みます。祈って」
「大丈夫? 痛むのか? 行かなくてもいいか? 頑張れ!」
「また張っていますありがとう 朝先生に来てもらいます。返事いりません祈ります、そして休みますごめんね」

6月21日(金)9:06 「くだ、今日とれます。お腹の張りは、伝えましたが、まだまだ、水もまだですと言われました。なんせ、早い回診です。」
「良かったね。もうひと頑張りだ。夜仕事終わったら寄るからね。」

6月24日(月) 「レントゲンの結果水許可おりました。薬飲みました。」

6月26日(水) 「銀行から〇〇の分引き落としがあるから入金しておいて………」
「了解入金しとくは」

メールのやり取りはこの日で途絶えた。
それから3日後妻は落命す。

後日妻の予定表に記されていた予定を見つけた。
6月27日28日共に「熱が……」と記されている。
運命の6月29日には「父、退院 おめでとう!」

7月3日 7月13日 共に大安 その日には 【ねらうぞ退院】と記されていた。
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花月明千記⑦ あまちゃん

5月29日10時30分 腹腔鏡手術が始まった。
家族はただ祈るだけ。
3時間経過。無事摘出される。
ドクターから切り取られた癌細胞を見せてもらう。
不思議な物体に声が出なかった。

6月8日退院するも自宅ではお腹のハリは続き調子悪い。
6月10日会社から帰宅すると妻はどうもお腹の様子がおかしいという、病院へ向かう。
病院で再検査、腸閉そくの疑い。その場で再入院となる。
この日が自宅で過ごした最後の日となるなんて………。

君が自宅療養中や入院中毎日欠かさず見ていたドラマ【あまちゃん】
今日で最終回だったよ。
毎回「面白いね、ホロリとくるね、じぇじぇじぇっ!」とテーマソングに合わせて話をしてたね。
最後まで一緒に見たかったね。
最終回全編涙が止まらなかったよ。
くやしくて、くやしくて………
でも明るい未来に向かって歩み続ける登場人物たちにとても救われたんだ。
君の分まで生きなきゃね。
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花月明千記⑥ 切除まで

【5月9日(木)】 検査入院 CTで転移を調べる。どうか転移していないように……病室の92歳のMさん とても良い方。いろいろと親切にしてもらう。
【5月10日(金)】 転移なしと聞いてホッとした。良かった、リンパの腫れは気になるがとにかくすべて先生にまかせる。午後は腸の検査 クリップ止め。 夜、なかなかねむれず。
………妻の日記より………
2日間の検査入院を終え、5月11日一時退院となった。
ドクターから退院療養計画の説明を受ける。
切除手術まで2週間ほど自宅療養を告げられると、「そんなにほっといていいの?!」夫婦そろって叫んでしまった。
「大丈夫、大丈夫。癌細胞は急に大きくなりません。」
「食事・お酒・入浴 制限ありません。仕事に行ってもいいですよ。」
安堵感・不安感 ごちゃまぜの中、私たちは病院をあとにした。

【5月12日(日)】 朝からお父さんのメール 新聞届けてほしいとのこと 寂しさからか何回も電話あり。どぶ掃除を済ませてから マサキさんにいってもらう。
夜、久しぶりにケンタッキーを食べる。 おいし~い。
………妻の日記より………




【5月13日(月)】 お父さんの見舞いに行く。すごく暑かった。
【5月14日(火)はれ 31℃】 アピタの2F(勤務先)へお母さんのズボンを買いに行く。みんなの姿をみると、また元気になって働きたくなる。Sさんにはげまされる。
【5月17日(金)はれ】妹が来てくれてお母さんと2人でお父さんの見舞いに行った。お昼ホットモットでのり弁食べる。妹は初めてと言い写メを撮る。 夜かなしばり こわかった。
【5月19日(日)くもりのち雨】おなかがボーンとした感じ。夜は手巻き寿司。夕方同僚に会いに行く。前向きな気分に切り替えるのがむずかしい。……わかっているのに…… 明日からはスマイル!!
 ………妻の日記より………

癌の切除手術が5月29日と決まった。
5月24日から再び入院生活が始まる。
妻の自宅療養中は家族の暖かさ・絆が身に染みた。
我が家は妻の両親と同居で子供2人の6人家族だが妻の父はひざの手術でずっと入院している。
6人家族が4人家族となり寂しくなる。

【5月28日(火)くもり】 いよいよ明日 恐い気持ちといよいよ取れるという気持ち 元気になる為にはさけられない道!!がんばれ!!  となりのベッドのMさんと話をしていて気分はれ。時を忘れる。
【5月29日(水)雨】 今日で悪者がんとさよなら!!ぜったいに元気になるぞ~っ 明日は笑顔で日記かける! 信じよう 信じよう ぜったいになおる なおす
………妻の日記より………
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